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直観を支えるものとは何か。

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とくに第 1 章第 2 節で既に見た。

2 直観を支えるものとは何か。

なお、否定の力を持つ直観については、第1章第3節および第4節で検討を行った。こ の直観が出発点の反省において見られることから、叙述の都合上、先行して検討した。本 来的には、その内容は本章に属する。本稿における直観に関する見解とは、それらも含め たものである。

第1節 直観の確実性の問題 (1) 確実性の問題

もし意識の事実であり、外的世界の事実ではないのなら、その事実は疑うことが通常は 出来ない。意識において痛みを感じるなら、この痛みは意識においては誤ることなく存在 している。そしてそのことは通常疑えない。外的世界の事実ではなく意識の事実だからで ある284。しかしながら、例えば自由の問題は自然の決定性と自由の関係から生じている285。 直観が関わるにしてもたいていの場合、意識の事実だけを考えることはできない。他方、

言葉を用いるなら、言語が介在していることになり、既にもはや意識の直接的な事実では ない。従って、そのような場合、特に直観の確実性の問題は必ずしも明瞭とは言えない。

282 『試論』、p.145.

283 第1章第4節(1)の注参照

284 本節(2)注参照

285 第2章冒頭の注参照

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直観の確実性については吟味すべき問題が残っているように思われる。

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(probabilité)に達するだろう。」290ベルクソンはまた次のように書く。「哲学が我々にもた らすものにおいて、おそらくすべてが等しく検証され検証しうるということはない。多く の場合、多くの点で精神が危険を受け入れることを要求するのが哲学的方法の本質である。

しかし、哲学者は、確信を得たという理由や、揺るぎなく確実であると感じるものがある という理由でしか、これらの危険を冒さない。」291ここでベルクソンが考えているのは、

恐らくのちに『道徳と宗教の二源泉』で「突合せの方法」292と呼ばれるものである。「意 識と生命」(『精神エネルギー』)では、「(「事実の線」の)おのおのは、切り離されると単 に確からしい (probable)結論へ我々を導くだろう。しかしそれらの集中によってすべてが 一緒だと、私はそう期待するのだが、我々を確実性の道のりで感じる確からしさの蓄積に 直面させるだろう。」(括弧内は引用者)293 ベルクソンが考える危険とは「事実の線」の延 長が関係する危険であると思われる。事実の線の延長とは、既に直接的な事実ではない。

延長させることには危険が含まれている。既に言及したように『道徳と宗教の二源泉』で は、ベルクソンは「突合せの方法」を次のように説明する。「測量士は近づくことのできる 二つの点から交互にその地点にねらいをつけることによって、近づくことのできない点の 距離を測定する。我々はこの突合せの方法が形而上学を決定的に進めさせることのできる 唯一の方法であると考えている。」294

第三に、ベルクソンは直接的な経験について、「もう一度になるが、直接的な経験から出 発したとしても、外的な経験の進展と、そこに結びついている推論の方法の全体の進展が、

その採用を命ずるという条件でしか、この経験の諸結果を採用するようにさせることが出 来なかった。」295そして、こう続ける。「我々の最初の反省のそのような結果は、全く別の 道によって再びそこに達したときしか我々によって明晰に見いだされ、決定的に受け入れ られなかった。」296 ここでの「我々の最初の反省の結果」とは、「純粋な状態における内 的な経験は、その本質そのものが持続することであり、結果として、破壊することの出来 ない過去を現在の中に絶えず延長する『実体』を我々に与えることによって、どこに記憶

290 同上

291「哲学的直観」、p.1360.

292『道徳と宗教の二源泉』(DS)、p.1186.

293「意識と生命」、p.817.

294 DS、p.1186.

295「緒論」、p.1314.

296 同上.

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が保存されているかを探すことを我々に免れさせ禁じていた」297ということを指している。

他方、「全く別の道」とは、記憶の脳への局在の問題に還元され、最後に失語症の問題に還 元された「精神の身体との関係」の問題を指している。

ベルクソンのこれらの反省から、そして特にこの第三の考え方から、たとえ直接的なも のの直観からすべての人が出発することを余儀なくされるにしろ、もし別の道があるなら、

直観はより確実になると考えることができる。我々は、この意味において直観の確実性の 問題を扱う298

なお、我々は、言語的な表現として不可分なもの、あるいは相互浸透とし語られる持続 は既に言語が用いられており、正確に非媒介的なもの(immédiat)であるとは言えないと考 える。従って、直接的な経験と言われるものであっても、言語的に表されたものについて は、その言語的な把握の確実性がやはり問われるものになると考えられる。そして、本章 の結論に予め触れることになるが、否定の力を持つ直観がこの言語的な把握の確実性につ いて別の道として、直観による言語的な把握を支えるということを、本章で確認すること となる299

(3) 持続の直観が捉えるもの a 直観の問題

直観と持続に関して、既に幾度か述べてきているが、ここでの議論に必要な範囲で述べ

297 同上、p.1315.

298 なお、ベルクソンの直観が、「莫大な事実の塊を一緒に一つに溶かす」(「形而上学入門」

(IM)、p.1432)ことから生れてくることに留意することも重要である。新しい科学を作り出

すことまで含めてベルクソンは莫大な事実を集めることを考えており(「緒論」、p.1309)、

事実を集めることはそうしないより確実性が高まると言える。事実を溶かすとは、事実を 既成の概念のままに見ないと言うことだろう。しかし、ここに危うさが入り込む余地も考 えられる。また、科学と観察と経験の全体が充分ではないのに充分だと判断して、直観が 自ら把握するものについて誤るということがあり得る。あるいは、莫大な事実の塊をうま く溶解できないこともあるだろう。「半世紀以来の形而上学の部分的な陰りは、前よりもは るかに分散した科学と接触する際に、今日、哲学者が出会う尋常ではない困難を主として 原因としている。」(IM、p.1432)つまり、諸事実が拡大し過ぎしたり、その把握が制約さ れたりして、直観が十分働くことができなくなることも考えられる。なお、本文で述べた とおり、本稿では莫大な事実を集め、溶解することとは別の種類の確実性を検討する。

299 なお、この点については、ごく簡単にではあるものの、既に第1章第4節(2)でも触れ ている。

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る。直観とは、「主として、精神による精神の内奥の認識である」300。あるいは、直観と は「精神に対する直接的な視覚である」301。「我々は、それゆえ形而上学に、限定された 対象、主として精神と、特殊な方法、何よりも直観を割り当てる。」302ここで、「直接的な」

とは、「見られた対象からかろうじて区別される視覚であり、接触であり一致でさえある認 識」303の仕方を形容している。ベルクソンは『試論』において、持続を説明するのに、メ ロディ、鐘の音、時計の音と音の例を示す。「見られた対象からかろうじて区別される視覚」

とは、『試論』で語られる音に関する種々の例によってその意味を推定することが出来る。

意識による音の把握の仕方において、①音を聞いたばかりの意識状態を思い起こすときの、

②1つの全体の、③時間的に不可分なあり方を把握すること考えられる304。対象と一致し ていた意識が、対象から離れ始め、一致していたそのごく直前を思い起こす仕方で捉える ことが、対象とかろうじて区別され視覚のことであろう。その視覚は、意識状態の時間的 推移を不可分な全体として捉えると考えられている。このように直観を捉えるなら、次の ように言うことができるだろう。「我々が空間化された時間において我々の状態について行 っている並置の下に、内的な生活を再び捉えることが問題であった。その経験はすべての 人の手の届くところにあった。」305

また、直接的であるとは、「介在されるものは何もない。その一つの面が空間であり、他 の面が言語であるプリズムを通した屈折も少しもない」306ということである。介在するも のにより誤りが生じるということはない。

しかし、この視覚、「見られた対象からかろうじて区別される視覚」は、「接触であり一 致でさえある認識」として把握されるかもしれないものの、既に「見られた対象からかろ うじて区別される視覚」であるなら、「接触であり一致でさえある認識」そのものではない。

旋律を聴いているときと、旋律を思い起こすときとは、違った意識状態である。旋律を思

旋律を聴いているときと、旋律を思い起こすときとは、違った意識状態である。旋律を思

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